ゲームシーンの背景

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FT紙がパネルディスカッションを開催 エンターテイメントの融合とスクリーンを越えた体験について語られる

2024/09/23

人気ゲームシリーズ 『Fallout』 がPrime Videoでドラマ化されてヒットを記録したり 『The Last of Us』、「ロード・オブ・ザ・リング』 『トゥームレイダー』といったIPそのものが多くの人から愛されていたりする現状を鑑みると、ひとつの媒体に閉じこもっていることは、もはや時代遅れであることがわかります。今日では新旧どちらのファンもクロスメディア化を好意的に受け止めており、その規模はどんどん拡大しています。その対象は映画、テレビ、ゲームなど様々で、互いに関連するストーリーを描き、世界観を広げていくことで新たなオーディエンスを獲得しています。

先週の木曜日には、Amazon GamesのオペレーションGMであるローラ・ナヴィー・スター(Laura Naviaux Sturr)氏が「Convergence - Driving Value Across Different Mediums(クロスメディア化がもたらす価値)」というパネルディスカッションに参加し、様々な経歴を持ったエンターテイメント業界のリーダーたちと議論を交わしました。このパネルディスカッションはフィナンシャル・タイムズ紙の Business of Entertainment Summit (エンターテイメントビジネスサミット)の一環として、9/19にロサンゼルス、ウェスト・ハリウッドで開催されたものです。

スター氏は、エンターテイメントの中核のひとつであるゲーム業界の代表として、映画芸術科学アカデミーCEOのビル・クレイマー(Bill Kramer)氏、Fandango & NBC Sports Nextの代表取締役のウィル・マッキントッシュ(Will McIntosh)氏、Bain & Companyのパートナーを務めるダニエル・ホン(Daniel Hong)氏と共に壇上へ上がりました。モデレーターはフィナンシャル・タイムズ紙ロサンゼルス事務局長のクリストファー・グライムズ(Christopher Grimes)氏です。

いずれのトピックも媒体を越えた作品展開をベースに議論されており、おおそ40分に渡るディスカッションの中では、ファンコミュニティとの関わり方、新しいオーディエンスの見つけ方、今日のクロスメディア戦略の成功においてスポーツとテクノロジーが果たした役割と今後の目標についてなど、非常に幅広い分野がカバーされていました。

以下にディスカッションの一部をピックアップしてお届けします。

世代を越えたファンコミュニティの力

「私たちは今、色々な意味でルネサンスの最前線に立っていると言えます。ゲームはまだまだ始まったばかりの業界で、媒体を越えて作品を届けていくことは大きなポテンシャルを秘めています。 『The Last of Us』のドラマシリーズ、 『スーパーマリオブラザーズ』 の映画、それに今年Amazonからリリースされた 『Fallout』 のドラマシリーズでは、ゲームのファンコミュニティの力強さが示されましたし、次世代であるZ世代やα世代のエイターテイメントに対する志向も強く表れていました」 - Amazon Games オペレーションGM サラ・スター氏

「ファンコミュニティについては、ひとつ前のセッションでクリストファー氏も言及していましたね。顧客の人々は、自分たちが関わり、ファンコミュニティを築いた作品についてもっと深く知りたいと願っています。ゲームで体験した世界を大好きになったら、ゲーム以外でも体験したくなるのです。それは映画であったり、マンガであったり、形は様々ですが、デジタルの壁を越えた生の体験を求めています」 - Bain and Company パートナー ダニエル・ホン氏

「先ほど上げたIPはこの20年、30年、40年もの間、ずっと圧倒的な存在感を放っています。それはつまり20年、30年、40年来のファンがついているということで、そうしたファンの人々は、自分たちの愛するキャラクターやストーリーが活躍する新たな場を常に待ち望んでいますし、新たな仲間を増やすことにも積極的です」 - Amazon Games オペレーションGM サラ・スター氏

画面の中と外、ふたつの場をひとつのものとして捉える

「オスカーだけでなく、テレビ放送やネット配信、SNS、あるいは対面で、年間を通してどれだけの人々がコンテンツに触れているのかを考えるべきだと思います。私たちはオフラインイベントを世界中で開催しているのですから、一晩のテレビ放送の結果だけでなく、それを越えた方法で成功を測れる基準を定義することが重要です」 - 映画芸術科学アカデミー CEO ビル・クレイマー氏

Robloxといえば、映画 『ビートルジュース』 の公開の際には、ワーナー・ブラザーズと共同で、まったく初めての取り組み実施をしました。Robloxに『ビートルジュース』の世界を作って、その中にはFandangoの映画館があるんですが、プレイヤーはその映画館に行って映画のチケットを買うことができるんです。この施策は最終的に、これまでの映画関連コンテンツの中で最も多くの人が訪れ、プレイしてくれたものになったと思います」 - Fandango & NBC Sports Next 代表取締役 ウィル・マッキントッシュ氏

大きくなる期待の中で人気IPをスマートに運用する

「現在、私たちは 『ロード・オブ・ザ・リング』、『トゥームレイダー』、新規IPのドライビングゲーム、アクションアドベンチャーを開発中ですが、ワンパターンなやり方では上手くいきません。IPをうまく運用するには、Z世代とα世代の人々に合わせてどのように作品を変化させていくか、どのようにして既存の人気コンテンツから彼らの興味を引き付けるかを、高い品質水準で考えることが重要です。人々の期待はどんどん大きく、ハードルはどんどん高くなっています。ライバルもたくさんいる中で、そうした人々の時間と関心を得る必要があるのです」 - ローラ・スター氏

パネルディスカッションでは様々な結論が導き出されましたが、媒体を越えた作品展開は加速しているということについては、すべてのパネリストが同意していました。これはゲームの人気IPがドラマ化や映画化されること、あるいはその逆がこれからもっと増えていくだろうということです。また、デジタルのIPが生の体験として画面の外に展開されることが多くなるだろう、という意見もありました。エンターテイメント業界が様々な分野から注目を浴びる中、業界のリーダーたちはこれからもファンの人々とより深く関わり、同時に新たなオーディエンスやプレイヤーを獲得するための指針を示し続けていくことでしょう。

フォトクレジット: Business of Entertainment Summit by Financial Times Live – https://entertainment.live.ft.com