今やビデオゲームはエンターテイメント業界において大きな比重を占めており、その顧客は世代を超えたものとなっています。技術イノベーション、人間のクリエイティビティ、そしてファンコミュニティの力を通じて、ビデオゲームのIPはその新旧を問わず、遊園地のアトラクションから映画や演劇まで、メディアを跨いだ広がりを見せています。 『Fallout』はその好例でしょう。 そうした広がりは結果として、新たなオーディエンス、プレイヤー、そしてさらなる成長の機会をもたらします。
ハロウィンを目前に控えた月曜日、エンターテインメントソフトウェア協会の会長兼CEOであるスタンレー・ピエール・ルイ氏とAmazon GamesのオペレーションGMであるローラ・ナヴィー・スター氏は、サンフランシスコで開催された 2024 GamesBeat NEXTカンファレンス において、「新たな成長へのベクトルを探る:新規オーディエンス獲得へ向けたIPの拡大」と題した対談を行いました。
二人の間で交わされた様々な議論の一部を、以下にハイライトしてお届けします。
メディアの垣根を越える人気ゲームIP
「 12月に公開されるSecret Levelには、Amazon Gamesの 『New World』も参加しています。他にも様々なパブリッシャーから作品が集っていて、非常に期待しています。あとは、なんと言っても 『Fallout』 ですよね。ドラマ版『Fallout』は全世界で6500万人が視聴しており、これはPrimeオリジナル作品の中で2番目に多い数字です。ゲーム業界のファンコミュニティの力と、メディアミックスのポテンシャルを証明する事例だと思っています」 - Amazon Games オペレーションGM、ローラ・ナヴィー・スター氏
人々は今も昔もゲーマーである
「私たちは活動の一環として、どんな人々がゲームをプレイしているのかをあらゆる階層に分けて調査し、平均的なゲーマー像というものを分析してきました。10年前の"平均的なゲーマー"は33歳前後であったのに対し、現在は36歳になっています。これは人々が人生を通してゲームをプレイしていることを示しています。新たな作品も古い作品も、友人たちと一緒にずっとプレイされ続けているんです」 - エンターテインメントソフトウェア協会 会長兼CEO、スタンレー・ピエール・ルイ氏
プレイヤーは自分にフィットする選択肢を望んでいる
「現代のゲームにおいて、万能薬的な解決策は最早ありません。私たち人間はつい大雑把に分類してしまいがちで、従来はAAAタイトルだとかAA、カジュアルのような分け方で語ってきましたが、現在の状況はもっと複雑で繊細なものになっています。
それを説明するものとして、私たちがPrime VideoのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)配信で行っている面白い施策があります。NFLのファンになった人は、多くの場合たまたまファンになったのではなく、周到に練られた計画と意図の結果としてファンになっているんです。α世代とZ世代をどのようにして引き込むか、5つの世代の要求を満たすにはどうすればいいのかを、私たちは真剣に考えています。Prime VideoのNFL配信は環境音として流すこともできる一方で、スタジアムにいるような臨場感を味わうこともできる。AWSを活用した統計データやX-Ray Visionも楽しめます。この事例は、ビデオゲームの新たな成長を探るうえで非常に有用なメンタルモデルになると思います」 - Amazon Games オペレーションGM、ローラ・ナヴィー・スター氏
老いも若きも皆ゲーマー
「消費者やプレイヤーの方々と話をしてみても、ほとんどの人はAARP(旧称:アメリカ退職者協会)がビデオゲームに関する研究を発表していることを知りません。AARPのウェブサイトにはゲームをプレイできるページがあるんですが、そこが一番人気なんだそうです。
つまり人々は高齢になってもゲームに触れ、それを楽しんでいるんです。それは単に脳にいい影響があるからという理由だけではなく、ゲームを通して社会的な繋がりや世代を超えたプレイ体験を得られるからです。
先ほど5つの世代が話題に上がりましたが、ゲーマーの場合はそれが2歳から…は言い過ぎかもしれませんが、10歳から92歳くらいにまで渡っているのが面白いですよね」 - エンターテインメントソフトウェア協会 会長兼CEO、スタンレー・ピエール・ルイ氏
対談の終わりに二人は、ビデオゲームはエンターテイメントのクリエイティブな未来をリードするものであること、そしてゲーム業界が成長するためには、かつてはニッチであった"ゲーマー"という枠組みは、今やすべての人に当てはまるのだと認識する必要があることについて、全面的に同意しました。